国内外で評価の高い村田沙耶香の最新長編『世界99』(集英社)が刊行された。上下巻で850ページに迫る大作だ。
この本につづったのは、フェミニズムやメディア文化論の研究者となった自分が、「オタ活」の現場で見聞きしてきた現象の記録と、個人的な葛藤も交えた分析だ。タイトルには、オタク文化が男性主体で語られてきたことへの静かな抗議も込められている。
マスカレード・ゲーム(東野圭吾、集英社文庫) ようこそ実力至上主義の教室へ3年生編 〈1〉(衣笠彰梧/トモセシュンサク、MF文庫J)一次元の挿し木(松下龍之介、宝島社文庫)わたしの幸せな結婚〈九〉(顎木あくみ/月岡月穂、富士見L文庫) ...
(2)は万年金欠で不運な私立探偵・葉村晶(あきら)が活躍するシリーズの約五年ぶりの長編。コロナ禍を経て私立探偵業が開店休業状態だった葉村晶は、久しぶりに探偵としての依頼を引き受けることになる。依頼主は有名私立学園の元理事長で、秘密厳守である人物の捜索 ...
さらに本書は、子どもとの生活というのは「予測が困難な不確実性を伴うもの」と指摘します。そのうえで、保育者の専門性は“揉事”への対処能力のみではなく、不確実な生活のなかで起こる“課題”に対する構え“実践的知恵”にも宿ることを指摘し、「保育者の専門性を『 ...
昨年7月、『日本国語大辞典』の2度目の改訂を行うことを、版元である小学館が発表した。“日国”と呼ばれて親しまれるこの辞典は、約50万語を収録し、3万点に及ぶ文献から100万の用例が採集された日本最大の国語辞典。第二版の出版が2000 ...
多様な価値観が併存する世を生き延びるため、人はどうふるまえばいいのか。村田沙耶香さんの新刊小説「世界99」(集英社)は、一見特異にみえる資質を持つ女性の生涯を社会の変容と共に描き出し、大きな問いを投げかける。3年余にわたる連載で壮大 ...
江戸は神田の袋物屋・三島屋で催されている〈変わり百物語〉。黒白の間と呼ばれる座敷を訪れた語り手は、聞き手と差し向かいになり、長年胸に秘めてきた不思議な体験を語り始める――。『猫の刻参り 三島屋変調百物語拾之続』(新潮社)は、宮部みゆきの人気時代小説「 ...
遠田潤子は時の流れの作家である。 過去、あるいは個人史を描く作家と言い換えてもいい。
例えばフェルメールやレンブラントの描いた絵画には低地・高緯度に位置するオランダの陽光が再現された。ルーベンスはフランドルの虹を、ターナーはイギリスの霧や吹雪を、ゴッホは南仏の風や青空を描いた。同様に、ムンクの絵画に残された火山噴火の痕跡や、モネの描い ...
2024年8月に『えほん思考』(晶文社)を刊行した菊池良さんが当欄にコラムを寄せてくれました。名作絵本の長新太『ゴムあたまポンたろう』(童心社)を新たな角度から考察します。絵本とは「最初で最後の秘境である」と菊池さん。その心は?